鹿島町の朝日山の寺の裏山にある88ヶ所巡りの70番のところに、古い大きめの石祠があります。祠の前に説明板があり、「朝日山権現様をお祀りしています。」と書かれています。
鹿島町誌(昭和37年)を見ると、恵曇神社(佐陀本郷)の飛地境内社として、毛之神社(佐陀本郷朝日山2141)が載っています。朝日山の峰頭にあり、本郷一円で信仰されているとされています。しかし、恵曇神社では、「聞いたこともなく、お祭りもしていない。」とのことでした。佐陀本郷でお年寄りさんに出会い、聞いてみると、「以前はお参りに行っていた。88ヶ所巡りの途中の少し広い場所にあった。名前は恵曇神社と言っていた。」とのことでした。山へ登っておられた方に尋ねると、「最近、和尚さんが、注連縄を張ったり、説明文を作られた。」とのことでした。
後日、朝日寺に確認すると、町誌に「毛之社」として載っているもので間違いないとのことでした。
「ふるさと秋鹿の地名と神々」の秋鹿郡絵図(元文五 1747)には、朝日寺の横に七所権現が描かれています。
「出雲国風土記註論」などによると、風土記に載る「毛之社」は、この朝日山にあった七所神社だとされ、現在は古志町の杢屋神社に合祀されているとしています。
しかし、古江村誌では、杢屋神社に合祀されている「七所神社」は、もと三笠山にあり、その後野間に移り、大正元年に合祀されています。雲陽誌には秋鹿郡の本郷に七所神社、古志に七所権現の記載があり、古志の七所権現が杢屋神社に合祀されているとすると、朝日山の七所神社はどうなったのでしょうか。町誌にあるように佐陀本郷で信仰されていたものなら、関係のない古志町の神社へ合祀されることはないと思われます。
出雲風土記:
延喜式:
主祭神:
境内社:
所在地:松江市鹿島町佐陀本郷
訪問日:2022年3月20日
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